盗人2。

監視カメラを堪忍すると、しっかり母の財布からお札を何枚か、抜き取る様子が、ばっちり写っているではないか。

すぐに警察にも連絡する。

刑事さんも駆けつけて、現場検証をする。母の寝室を指さしてみたり、指紋を取ってみたりと、写真を撮るさまは、検事ドラマの様であった。

母は、几帳面におろした金額と、渡した相手まで、メモに書いていた。

どうやらゆうは、最初は、母からお金を借りていたらしい。

しかし、もどかしくなったのだろう。勝手に財布から抜き取るようになっていったのだろう。

びっくりしたのは、通帳と母のメモから、割り出した盗まれた金額が、あのデブ弁護士と、刑事さんと同じだったということだった。

弁護士のくせに母の家を覚えず、何度か途中まで、迎えに行った。デブは物覚えが悪いらしい。

もっとも驚いたのは、母の日記がゆうが来るようになった期間がなくなっていたことだ。日記はどこかに捨てたというではないか。そして、自分が来たことを郊外しないように母に口止めしたらしい。すごい。厚かましさ。

ゆうの家には、早朝警察が踏み込んで、逮捕したらしい。子どももいただろうに。

家庭崩壊。自業自得。

ゆうの事情聴取が行われることとなり、母が彼をゆうだと確認するために、警察署に同行した。聞いた通り、色の黒い、奇異な姿の気味の悪い男であった。

母は最初は彼が誰かわからない風で、刑事さんも私もがっかりしたが、階段を降りて帰ろうとしたとき、母が唐突につぶやいた。

何故、ゆうがあんなところにいたのかしら?

慌てて引き返して、母が確認したことを刑事さんに伝えた。

それから、やっと裁判にこぎつけるわけだが、母をつれて、検察庁の検事さんに会いに行くと、どうやら、ゆうは立憲されないというではないか。

えっ???

認知症の老婆を色仕掛けでだまして、お金を400万も盗んでも、大したことないということなのだろうか。。。情けなくて、涙が出る。今までのこの証拠集めの苦労は何だったのだろうか。。。

ばあちゃんここまでや!!!   帰ろう!! と、母の手をとり、よろよろと帰る。