盗人3
ところがである、私の涙が効いたのかどうだったのか。
ゆうは裁判に掛けられることとなった。
デブの弁護士に依頼する。娘の知り合いの旦那だったから、断りようもなく、いや、その無能ぶりにまだ気が付いていなかったのだ。
彼は言った。
財布触りましたね。指紋消えたかも。。。あぁあ。。。
相手の弁護士は国選だから、ちょろいもんですよ。楽勝楽勝。
ねぇ、商売っていいですね。あなたも売り上げごまかしているでしょう?
お母さんの家の近くまで来ていますが、分からないので、迎えに来てください。
ときどき、お母さんに逢いに来んといけんですね。
まだまだあったかもしれないが、デブだけに、デリカシーがなく、母に逢いに来たことも一度もなかったよね。あんた。
楽勝って?ふざけんな! 盗られた400万が200万になってしまってるのは何故なんだ。
初めて知った。
どんなに無能でも、一度司法に携わる仕事に就いたならば、全面的身分が保証されるんだね。
ばかばかしい。しっかり地を這うように調べている刑事さんのほうが、よほど親身で頭もよい。
デブの弁護士。あんたには二度と会いたくない。さいなら。
それにしても、裁判官のゆうにかけたあの優しい言葉はいったいなんなんだろう。。。
二度とこんなことしちゃあいけないよ。へっ???
40にもなるおっさんだよ。あいては。しかも、認知症の老婆を色仕掛けでだましたんだよ。ふざけちゃあいけないよ。だから、再犯が起こるんだ。
ゆうの容貌にも驚いた。
色が真っ黒で、ボンレスハムのような体つき。黒くて、丸い不細工な顔。聞いたとおり、一度見たら、忘れられない容貌で、気味が悪かった。。。あんな男見たことない。
でも、おばあちゃんには人気あったらしいから、ほかにもきっと被害者はいるはず。